「CBD について調べているとエンド・カンナビノイド・システムって言葉が出てくるんだけど難しくて理解できないからわかりやすく教えてほしい。」
この記事ではこういった要望に応えます。
矢作
それじゃあ、エンド・カンナビノイド・システムについて説明していくよー!
- どのようなシステムなのか
- エンド・カンナビノイド・システムのメカニズム
- エンド・カンナビノイド・システムが崩れるとどうなるのか
- 男女におけるエンド・カンナビノイド・システムの違い
エンド・カンナビノイド・システムとは?
エンド・カンナビノイド・システム(Endocannabinoid System)は人だけでなく、脊索動物のホヤ類、脊椎動物の魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類のすべてに存在し、免疫システムのバランスを担っています。
日本では内因性カンナビノイド・システムと呼ばれ、身体を調整する機能をもっているのです。
ではどのようなバランスを担っているのかというと、食欲、痛み、免疫調整、感情制御、運動機能、発達と老化、神経保護、認知と記憶などで、細胞同士のコミュニケーション活動を支えています。
現在では生きていくのに必要不可欠なものとして形成されたと考えられているのがエンド・カンナビノイド・システムです。
エンド・カンナビノイド・システムのメカニズム
私たちの体には有害な細菌や病気から守ろうとする自然治癒力が備わっているけど、その役割を果たす免疫は白血球が担っています。
つまり白血球=免疫細胞であり、免疫細胞の種類ごとに異なった役割を果たしているのです。
- 外敵を発見する
- その情報を伝達する
- 外敵を攻撃する
など、体内の状況に応じて免疫細胞が働いているのです。
これと同じようにカンナビノイドも体内でさまざまな働きをしています。
体内で生合成される内因性カンナビノイド
内因性カンナビノイドは、コレステロールやアミノ酸のように体内で作られている物質です。
エンド・カンナビノイド・システムにおいて内因性カンナビノイドは必要不可欠なものになります。
詳しくは別記事にまとめてあるから興味があればご覧ください。
良く知られている内因性カンナビノイドはアナンダミドと 2-AG で、体内にある受容体と結び付くことがわかっています。
カンナビノイド受容体と結び付く
カンナビノイドと結び付く受容体のことをカンナビノイド受容体といいます。
体内のあちこちに存在しているけど、もっとも多くの受容体が密集しているのは脳です。
最近の研究では脳の次に女性の生殖器官に多いことがわかっています。
カンナビノイド受容体の働きや分布についても、まとめた記事があるから深掘りしたい人はどうぞ。
カンナビノイド受容体が結び付くのはは内因性カンナビノイドだけではありません。
ですので、内因性カンナビノイドが不足すれば、ほかのカンナビノイドで補うことができるのです。
ほかのカンナビノイドでも補える
内因性カンナビノイドの代わりとなるのは次のカンナビノイドです。
- 植物性カンナビノイド
- 合成カンナビノイド
- 疑似カンナビノイド
それぞれどのようなカンナビノイドであるかという部分についても詳しくまとめた記事があります。
それではエンド・カンナビノイド・システムが担う免疫システムのバランスが崩れてしまうとどうなるのでしょうか?
免疫システムのバランスが崩れるとどうなるのか?
免疫システムのバランスが崩れてしまうと体内で誤作動が起きてしまいます。
その誤作動というのは一体どのようなものなのでしょうか?
体のあちこちに不調のサインが発現する
免疫システムが暴走状態になってしまうと、体内や体外の要因で免疫に過剰反応したり、免疫が低下したりするのです。
免疫過剰反応になると自然免疫疾患(橋本病、リウマチ性関節炎、狼瘡、炎症性腸疾患、1型糖尿病)になり、免疫が低下するとガン(肝炎、HIV、帯状疱疹、結核)を引き起こします。
免疫過剰反応になるとアレルギー(食物アレルギー、皮膚炎、喘息、鼻炎)になり、免疫が低下すると感染症(バクテリア、細菌、寄生虫、ウイルス)を引き起こします。
例えば免疫は自分の体や組織を異物のように認識して自己抗体や自己攻撃性リンパ球を作り、自分の体を攻撃することがあります。
この異物に対する免疫反応が過剰となったものがアレルギーです。
また、エンド・カンナビノイド・システムはさまざまな疾患に関与していることもわかってきています。
エンド・カンナビノイド・システムが関与している疾患
エンド・カンナビノイド・システムが関与している疾患として、多発性硬化症、脊髄損傷、神経性疼痛、がん、動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞、高血圧、緑内障、肥満、メタボリック症候群、骨粗しょう症、うつ病、慢性関節リウマチ、膠原病など、多数の病気が報告されています。
カンナビノイド適応疾患の研究は数多くおこなわれていて、今では製剤として発売されている治療薬もあるのです。
それでは最後にエンド・カンナビノイド・システムの男女差を見てみましょう。
男女におけるエンド・カンナビノイド・システムの違い
エンド・カンナビノイド・システムは男女間で食欲、性行動、不安などの応答が異なることがわかっています。
例えば女性ホルモンのひとつである「エストロゲン(卵胞ホルモン)」は、内因性カンナビノイドを弱めたり阻害したりするのです。
エストロゲンは生理周期とともに分泌量が変化するけど、この急激な変動が生理前のイライラ、肌荒れ、不調などは PMS(月経前症候群)であると考えられています。
男性よりも女性に多いうつ病や不安障害、骨粗しょう症もエンド・カンナビノイド・システムの関与があることが示唆されているのです。
このようにエンド・カンナビノイド・システムにはまだまだ解明されていない部分が多いので、今後さらなる研究が必要であるといえます。
現在わかっていることとしてエンド・カンナビノイド・システムというのは「免疫システムのバランスを担い、細胞同士のコミュニケーション活動を支えている」と覚えておいてください。
最後にエンド・カンナビノイド・システムについてわかりやすく解説された動画をご紹介しておきます。
エンド・カンナビノイド・システムの解説動画
字幕になっちゃうけどエンド・カンナビノイド・システムについて、わかりやすく解説している動画を2本ご紹介します。
まずは CBD Nation です。
CBD Nation
GREEN ZONE JAPAN が開催している上映会で見ることができます。
内因性カンナビノイドがどのようにカンナビノイド受容体と結び付き、そしてどんな働きをしているのか視覚的に非常にわかりやすく作られた動画です。
ドキュメンタリー映画なので心にグッとくる内容になっています。
続いては Cannabis Science です。
Cannabis Science
難しい用語がたくさん出てくるけど、映像を見ながら何となくの理解で問題ありません。
何となく体に良い影響を与えるものなんだなと、ふわっとしたイメージでも捉えることができれば幸いです。
矢作